「古楽」とは何か

 「古楽」とは何か、古楽器でバッハを、あるいはバロック音楽を演奏するとはどういうことか、そうした疑問に対し、最も基本的なインフォメーションを提供するねらいで書かれたのが、「ブランデンブルク協奏曲の新盤に寄せて」(1978)である。これは、レオンハルトの指揮によるバッハのブランデンブルク協奏曲のレコードの日本盤の発売を機に書かれたもので、私の書いたものの中では「古楽器演奏への入門編」と言えるような内容のものだ。

 その後にたくさん書いた古楽器奏者とのインタヴューや対談では、各楽器の固有の表現方法や、個々の演奏家の音楽観や演奏論が紹介されている(
渡邊順生著作一覧

 しかし、最近では古楽器演奏においても、早くも一種の老化現象が顕著になりつつある。そうした現状に対する分析と打開策を求める狙いをもって最近書いたのが、「ビルスマのバッハ〜かくて《古楽》は克服された」(1999)である。

 生き生きとした表情豊かな演奏を実現するには、個々の演奏家の作品に対する真摯な取り組みと豊かなファンタジーによるしかないが、「ビルスマのインタヴュー最新版」では、この、生涯を賭けてバッハの「無伴奏組曲」と取り組んできたチェロの名手が今なお新鮮な感動をもってバッハにアプローチしている姿が、彼独特のユーモラスな口調で語られている。

チェリビダッケに学んだもの――ユルゲン・クスマウルに訊く
 
最近、私自身が経験した内で最も刺激的な演奏会の1つとなった「古典派協奏曲の夕べ」で指揮者を務めたヴィオラの名手、J・クスマウルに話を聞いた。

レオンハルトとチェンバロ
レオンハルトの演奏で聴くことのできる種々のタイプのチェンバロについて。

 

レコード雑感

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音楽随想

ベートーヴェンと「不滅の恋人」

啓蒙思想とバッハ



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