レコード・アカデミー賞とは?

 

 「レコード・アカデミー賞」(音楽之友社主催)は、各年度(1年間)に日本のレコード会社から発売された(直輸入盤も含む)クラシック・レコードを9つのジャンル(交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽、器楽、声楽、オペラ、音楽史、現代音楽)に分け、各部門担当の選定委員の合議により、それぞれのジャンルの年間ベストワンのディスクに与えられる賞です。さらに、それら9点のディスクの中から、選定委員全員の投票によって「レコード・アカデミー大賞」と銀賞・銅賞の受賞ディスクが決定されます。9つのジャンルの他に、3つの特別部門も設けられています。
 2006年1月新譜としてリリースされた私共の『モーツァルト:フォルテピアノ・デュオ』のディスクが、2006年度のレコード・アカデミー賞を器楽曲部門で受賞したという報を聞いた時には、とても信じられない思いでした。器楽曲部門は、全ピアノ曲(二重奏と四手連弾を含む)、チェンバロ、ハープ、ギター等の独奏曲、ヴァイオリンやチェロ、フルート等の無伴奏曲を含み、発売されるCDの数は他の部門に比して圧倒的に多いカテゴリーです。その部門で、2台ピアノと四手連弾という地味な分野における当ディスクが受賞の栄誉に浴したことに対しては、選定委員諸氏と音楽之友社に謹んで御礼申し上げたいと思います。フォルテピアノによる演奏では、過去に、室内楽(ヴァイオリンとの二重奏)と歌曲伴奏という2つの例はあるものの、ピアノ音楽の領域で初の受賞となったことも光栄の限りです。
 モーツァルト・イヤーという特別の年にモーツァルト作品のCDは山ほど世に出ましたが、今回受賞したのは、アンネ=ゾフィー・ムター、アンドレ・プレヴィンらによるピアノ・トリオ(室内楽曲部門)と当ディスクの2点のみでした。


 ちなみに、他の部門の受賞ディスクは次の通りです。

    大賞<オペラ部門>
    ヴァーグナー《ニーベルングの指輪》より〜
    『ラインの黄金』『ヴァルキューレ』『ジークフリート』(各全曲)
    バイロイト音楽祭ライヴ(1955) 指揮:ヨーゼフ・カイルベルト
    銀賞<交響曲部門>
    プロコフィエフ:交響曲全集
    ヴァレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団(2004ライヴ)
    銅賞<協奏曲部門>
    ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調作品15
    クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)、ベルリン・フィルハーモニー
    指揮:サー・サイモン・ラトル (2003/4録音)
    管弦楽曲部門
    ルトスワフスキ、バルトーク他:管弦楽のための協奏曲etc.
    パーヴォ・ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団 (2005録音)
    室内楽部門
    モーツァルト:ピアノ三重奏曲第3〜5番
    アンドレ・プレヴィン(ピアノ)、アンネ=ゾヴィー・ムター(ヴァイオリン)、ダニエル・ミュラー=ショット(チェロ) (2005ライヴ)
    声楽曲部門
    ヴォルフ:歌曲集
    イアン・ボストリッジ(テノール)、アントニオ・パッパーノ(ピアノ) (2005録音)
    音楽史部門
    涙の形(コペラリオ、ダウランド、ダニエル、キャンピオンらの作品)
    イヴリン・タヴ(ソプラノ)、波多野睦美(メゾ・ソプラノ)、つのだたかし(リュート) (2005録音)
    現代曲部門
    クルターク:カフカ断章
    ユリアーネ・パンゼ(ソプラノ)、アンドラーシュ・ケラー(ヴァイオリン) (2005録音)
    特別部門(ビデオディスク)
    ヴァーグナー《トリスタンとイゾルデ》
    クラウディオ・アッバード指揮ルツェルン祝祭管弦楽団ほか
    −演奏会形式− (2004収録)
    特別部門(録音)
    ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30〜32番
    内田光子(ピアノ) (2005録音)
    特別部門(企画・制作)
    NHKクラシカル・レーベルのDVD
    カラヤン&ベルリン・フィル来日公演1957、ベーム&ウィーン・フィル来日公演1977、ミュンシュ&ボストン交響楽団来日公演1960 ほか