《チェンバロ・フォルテピアノ》

第2刷における改訂点


今回の改訂は、「第2版」ではなく単に「第2刷」なので、本全体の構成やページ数などを変えない範囲で行いました。
300ページ余りに及ぶ修正の大部分は、誤字や誤植、言葉遣いや用語法のチェックで占められています。その点では、初版(第1刷)を出す際の校正で見落としていた部分を修正したということになります。
今回は、図版の印刷濃度を調整し、特に写真については細かい部分まで鮮明になったという点で、第1刷に比して大幅に改善されました。
数点の写真を他のものと入れ替え、また、何点かの写真を追加しました。追加した写真の大部分は、第11章「ベートーヴェンのピアノ」における、シュトライヒャーのピアノに関わるものです。
第3章「フランダースのチェンバロとその影響」においては、【図11】と【図12】を別のものと差し替えることで、フレミッシュ・ヴァージナルの2つのタイプ、「スピネット」と「ミュゼラー」のデザインの違いをより分かりやすくなるように工夫しました。
第8章「バッハの鍵盤楽器」においては、【図11a】として、山田貢・松田世紀夫両氏の設計によるラウテンヴェルクの写真を追加しました。
特に第4章「クラヴィコードの原理と初期のクラヴィコード」と第9章「バッハの息子たちとクラヴィコードの時代」には、C・P・E・バッハの『正しいクラヴィーア奏法』からの引用がかなり多く含まれていますが、その引用文を、1963年に刊行された東川清一氏の旧訳書から2000年及び2003年に刊行された同氏の新訳書に差し替えました。それに関連して、C・P・E・バッハのジルバーマン・ピアノに対する初期の評価に関する部分を書き換えました。
第6章「クリストフォリとスカルラッティ」及び第8章「バッハの鍵盤楽器」において、スカルラッティのソナタをクリストフォリ・ピアノで弾いたり、バッハの作品をジルバーマン・ピアノで弾いたりすることの意義に関し、私の意見が多少変わったため、その部分を書き直しました。
第8章「バッハの鍵盤楽器」において、ジルバーマン・ピアノのストップ(いわゆる「チェンバロ・ストップ」)に関して重大な事実誤認があったので、それに関する部分を書き直しました。
第11章「ベートーヴェンのピアノ」においては、シュトライヒャーのピアノ、あるいはシュトライヒャーとベートーヴェンのピアノについて、私の知識と経験がこの数年間に飛躍的に増えたため、704ページから724ページに至る21ページ間を全面的に書き直しました。シュトライヒャーのピアノに関しては数点の写真が変更、あるいは追加されています。特に第1刷にはなかった「ダウンストライキング・アクションのピアノ」については、写真とアクションの図解を加え、文中でも簡潔に説明しています。


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